やくみやくめ

 日本の料理には、薬味という独特の役割を担う食材があります。薬味は、料理の主役でもなく、脇役でもなく裏方でもないもの。しかし、薬味はまるで掛け算のように料理に大きな飛躍と変化を与えます。それでいて何とも控えめで慎ましい存在でもあります。どんな料理をも引き立てるために余計な自己主張をしたりはせず、ただ黙々と自らの役目を守り続ける。その佇まいは謙虚で、誠実で、愚直で、どことなく可愛らしい。そんな薬味達の姿は時として「そういう人間でありたい」という想いすらも抱かせてくれます。